過去の企画展
2019年9月14日(土) - 2020年1月13日(月)
国内外で注目を集めるAKI INOMATAの、日本の美術館では初となる個展。主題となった「Significant Otherness(重要な他者性)」は米国の科学史家、ダナ・ハラウェイが提唱する概念から着想を得たもの。本展では、3Dプリンターによる実在の都市を模した「殻」をやどかりに提供し、住み替えてもらう《やどかりに「やど」をわたしてみる》をはじめ、他の生きものとの協業を通して人間や社会の本質を問いかける6つのプロジェクトを紹介した。人間とは異なる生きものの視点から世界を表現し、長い時間の流れや環境、生態系をめぐる思索を鑑賞者に呼び起こした。
※photo:企画展「AKI INOMATA:Significant Otherness 生きものと私が出会うとき」展示風景 2019年 撮影:小山田邦哉
1. AKI INOMATAの作品群が包括的に見られる国内初の機会
これまでKENPOKU ART 2016 茨城県北芸術祭やAsian Art Award 2018などで一定規模の展示をしてきたINOMATAですが、6つのプロジェクトを同時に見せる最大規模の展示となります。
2. 生きたやどかりが展示室にやってくる!
INOMATAの大切なコラボレーターである、生きたやどかりが、十和田市現代美術館で生体展示されます。INOMATAの自作の「やど」(3Dプリンターで制作した殻)に引っ越しする場面をライブで目撃できるかも!?通常、美術館内での生体展示は難しいため、今回の展覧会は貴重な機会となります。
※生体展示に当たっては研究者・研究機関に助言をいただきながら実施しています。
3. 十和田ゆかりの南部馬をテーマにした新作映像《ギャロップする南部馬》が登場
INOMATAはかつて十和田を含む南部地方で飼育されていた南部馬をテーマに、この十和田での展示に合わせて滞在制作を行いました。どうぞご期待ください。
AKI INOMATA 記録集
『AKI INOMATA:Significant Otherness 生きものと私が出会うとき』
株式会社美術出版社より2019年10月25日発売予定。
現代美術家、AKI INOMATA初の記録集。
美術館では初となる個展、「AKI INOMATA:Significant Otherness(シグニフィカント・アザネス)生きものと私が出会うとき」を記念しての刊行となります。代表作の《やどかりに「やど」をわたしてみる》から、新作の《ギャロップする南部馬》まで、13のプロジェクトを本人の解説と美しいビジュアルで紹介しています。
[記録集]
『AKI INOMATA:Significant Otherness 生きものと私が出会うとき』
サイズ:A5サイズ(176ページ)
言語:日英バイリンガル
出版:株式会社美術出版社
販売価格:3,200円(税別)
発行日:2019年10月25日
論考執筆者:
パオラ・アントネッリ(MOMA キュレーター)
温 又柔(小説家)
岩崎 秀雄(研究者、アーティスト)
港 千尋(写真家、映像人類学)
小池 一子(十和田市現代美術館 館長)
金澤 韻(本展覧会キュレーター、十和田市現代美術館 学芸統括)
アートディレクター:吉田 昌平(白い立体)
取り扱い:十和田市現代美術館カフェ&ショップ「cube」、全国主要書店
ただいま、カフェ&ショップcubeにて、ご予約を受け付けております。
郵送をご希望の場合は、本体価格(3,200円+税/予定)+レターパックライト代(370円)にて承ります。
お問い合わせ:
十和田市現代美術館カフェ&ショップ「cube」
Tel: 0176-22-7789
E-mail: cube@towadaartcenter.com
【トークイベント】AKI INOMATA×港千尋(銀座 蔦屋書店 BOOK EVENT SPACE)
10月28日(月)、銀座 蔦屋書店内 BOOK EVENT SPACEにて、『AKI INOMATA: Significant Otherness 生きものと私が出会うとき』の刊行を記念して、現代美術家 AKI INOMATA氏と港 千尋氏によるトークイベントが開催されます。
■日時:2019年10月28日(月)19:00-21:00
■場所:銀座 蔦屋書店内 BOOK EVENT SPACE
■主催:銀座 蔦屋書店
■定員:60名
■問い合わせ先:03-3575-7755
※参加条件・申込方法など詳細はこちら(銀座 蔦屋書店WEBページ)。
AKI INOMATA
1983年生まれ。2008年東京藝術大学大学院先端芸術表現専攻修了。
生きものとの協働作業によって作品制作をおこなう。主な作品に、3Dプリンターを用いて都市をかたどったヤドカリの殻をつくり実際に引っ越しをさせる「やどかりに『やど』をわたしてみる」、飼犬の毛と作家自身の髪でケープを作ってお互いが着用する「犬の毛を私がまとい、私の髪を犬がまとう」など。
近年の展覧会に、「第22回ミラノ・トリエンナーレ」(トリエンナーレデザイン美術館、2019) 、「タイビエンナーレ 2018」(クラビ市内、タイ、2018)、「Aki Inomata, Why Not Hand Over a “Shelter” to Hermit Crabs ?」(ナント美術館、フランス、2018)、「Coming of Age」(Sector 2337、シカゴ、2017)、「KENPOKU ART 2016 茨城県北芸術祭」(2016)、「ECO EXPANDED CITY」(WRO Art Center、ヴロツワフ、ポーランド、2016)、「エマージェンシーズ!025 『Inter-Nature Communication』AKI INOMATA」(NTT インターコミュニケーション・センター [ICC]、東京、2015)、「第4回 デジタル・ショック -リアルのファクトリ-」(アンスティチュ・フランセ東京、2015) 、「アルスエレクトロニカ」(リンツ、2014)、などがある。2017年ACCの招聘でニューヨークに滞在。
※撮影:新津保建秀
作家メッセージ
人間以外の生きものと私たち人間との距離はひらきつつあると感じる。隅々までコンピュータ管理された情報化社会に住む現代の私たちは、人間以外の生きものを、都市空間から排除し、遠ざけてきたようにも思う。私の作品の多くは、“生きものとの共作”のプロセスによって成立している。私は、他種の生きものたちを、畏敬の念をもって、日々観察してきた。そして、自分とは異なる生きものたちを知り、コミュニケーションを取ろうと試みることで、生きものと人間の関係性を再考している。美術館では通常、作品保護の観点から害虫やカビの発生を防ぐために動植物の持ち込みが厳しく制限されている。しかし、十和田市現代美術館では生体展示をすることが可能だ。美術館周辺には、太古からの自然を感じられる奥入瀬渓流をはじめ、十和田湖、八甲田山など動植物の観察に適した場所も多い。美術館の中に生きものたちを招き入れ、日常的には意識されづらい異種との対話を試みたい。
名称
会期・日時
会場
十和田市現代美術館
開館時間
9:00 − 17:00(入場は閉館の30分前まで)
休館日
月曜日(祝日の場合はその翌日)、12月28日(土)〜1月1日(水)年末年始休館
会場
十和田市現代美術館
観覧料
企画展+常設展セット券1200円。企画展の個別料金は一般800円。
団体(20名以上)100円引き。高校生以下無料。
主催
十和田市現代美術館
協賛
株式会社 島津製作所
特別協力
MAHO KUBOTA GALLERY
協力
浅虫水族館、TRNK exhibition preparation、松本茶舗、SOMARTA、 VIVIENNE TAM、UN3D.
後援
東奥日報社、デーリー東北新聞社、青森放送、青森テレビ、青森朝日放送、十和田市教育委員会
キュレーター
金澤韻
アシスタントキュレーター
見留さやか